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EJA Award 2022 体験記





 

 この度は,思いがけない賞を頂きありがとうございました。これもひとえに中村紀子先生にロールシャッハ・テストの魅力を教えていただいたおかげです。深く感謝申し上げます。

 私が初めてEJAの講座を受講したのは25年前。その頃はメモを取るだけで精一杯で,研修終了時には気が遠くなっているような状態でした。それが今では,手放せない検査になっています。そんな私が包括システムを一から学び直そうと思ったきっかけは, CPCSレベル2A(JRSC学会認定資格)試験で不合格になったことでした。自分の知識の偏りや解釈の癖を見直す必要がある,でも,一つの検査にどこまで時間をかけられるか。正直迷いましたが,やるしかないと年度初めに全講座を申し込みました。

 基礎講座はロールシャッハ・テストの歴史からスタートします。包括システムの成り立ちを知ることで,施行法が統一されている意味や健康的な部分も重視する心理学モデルであるといった「土台」が明確になります。そこに解釈と関連付けたコードの解説,さらに施行法と解釈を重ねていくので,大学院で習ったけれど自信がないという方にとっても,既知の知識が繋がる体験になると思います。加えて,2021年は20時間で学ぶRenewもあり予習復習の機会となりました。異なる角度からの説明を繰り返し聞くことで,理解が深まり,相手に伝える時のバリエーションも増えました。

 基礎解釈講座は,特殊指標に焦点をあててその成り立ちを確認し,複数の事例を比較することで,同じ特殊指標に該当していてもその現れや対応が違ってくることを学びます。教科書だけではわかりにくい個別の解釈を行う際の助けになり,例えばDEPI=うつ病のように単純にはいかない「心理学モデル」が具体になる講座でした。

 One Day WSではテーマに沿ってひとつのケースを丁寧に読み解き,RFSGは短時間で解釈や支援の作戦を練る練習になりました。スモールグループのメリットは,自分の臨床では出会えないケースについてもリアルに学べ,経験の幅が広がることだと思います。

 2021年~2022年のチャレンジを経て,自分の中の情報が統合され,解釈が楽になった感があります。車に例えるなら,たまに運転する時にはひとつひとつの動作に緊張しますが,繰り返せば意識せずとも体が自然に動く,そんな感覚でした。自分の知識を時々メンテナンスすることで,より快適に走れるようになります。皆さんも,是非ご体験下さい。


仙台市児童相談所 有住洋子

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